2018年6月30日 第2回研究会

日時:2018年6月30日(土)13:30~15:30
於:早稲田大学 戸山キャンパス

 

 

【プログラム】

1.研究発表
  アダン手稿譜から読み解く《ジゼル》創作プロセスと楽曲の暗号
  高島登美枝(東京藝術大学大学院音楽研究科博士課程、昭和音楽大学非常勤講師、バレエピアニスト)

私は、19世紀バレエについて、舞踊・音楽・台本の関係性という観点からの研究を行っておりますが、修士課程では《ジゼル》を対象に取り上げました。
《ジゼル》は、ちょうど鈴木晶先生の科研費研究のテーマと重なっておりましたので、昨年、先生の研究協力者という形で、パリのBnFに赴き、アダンの《ジゼル》直筆楽譜を直接手に取って調査する機会に恵まれました。本発表では、その調査結果に基づき、《ジゼル》の制作過程における台本作家・振付家・作曲家の関係性を考察しつつアダンが音楽の中に織り込んだ台本解釈を読み解くことで、従来バレエ音楽としては比較的軽視されてきた《ジゼル》の楽曲の持つ意義について、再評価を加えてみたいと考えております。

2.資料紹介
  18世紀ドイツにおけるオペラとバレエの上演実態調査の問題点:ドレスデンとベルリンを例に
  大河内文恵(東京藝術大学附属音楽高等学校非常勤講師)

18世紀の”ドイツ”においては、結婚式など祝祭の時だけでなく、君主の誕生日や謝肉祭などにオペラが上演される宮廷が存在したが、オペラやバレエの上演をまとめた公式記録は見つかっていない。いつ、どのような演目が上演されたかを調査するために利用しうる資料を紹介し、ドレスデンとベルリンのレパートリー調査を試みる。

 

【報告】

 

最初のご発表は、髙島登美枝さんによる「アダン手稿譜から読み解く《ジゼル》創作プロセスと楽曲の暗号」。フランス国立図書館に所蔵されているアダンの《ジゼル》自筆スコアの解析、各種資料の比較から明らかになる台本作家・振付家・作曲家の関係、《ジゼル》の音楽的特徴とバレエ史における位置づけ等、「初期ジゼル」(プティパ改訂版以前の《ジゼル》)の音楽に多角的な視点からアプローチすることで得られた画期的な研究成果についてお話しいただきました。

続いて、資料紹介として、大河内文恵さんに「18世紀ドイツにおけるオペラとバレの上演実態調査の問題点 ドレスデンを例に」というタイトルでご発表いただきました。まず、大河内さんのご専門であるオペラについて、ドレスデンで上演された作品を調べるためにどのような資料があるのかご紹介いただき、さらに、これらの資料からバレエについてはどのような情報が入手しうるのかについて検討していただきました。